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慢性化してしまった症状(関節炎、腱鞘炎、足底筋膜炎、アキレス腱鞘炎など)の治療の傾向として、近年PRP療法(自己多血小板血漿療法)が大変注目を浴びています。「慢性」化してしまった患部を「急性」の状態に戻すことにより、自己治癒力を再活性化し、切開しないこの手術方法が高い効果を上げています。
日本では、顔のしわを目立たなくするなど、美容整形分野でのPRP療法の利用がよく知られていますが、アメリカでは数年前からプロスポーツ選手を中心に、けがの治療に使われ始め、現在では一般の方々に対しての治療法として導入されています。当クリニックでは、2009年よりPRP療法を導入し、日本、また世界各国から訪れるプロスポーツ選手のPRP療法を行っています。2014年には、ニューヨーク・ヤンキースの田中選手が肘の治療としてPRP療法を行い、日本でもこの治療法が有名になりました。
PRP(Platelet-Rich Plasma)とは、血小板を濃縮したもので、新しい組織や細胞の成長を促す栄養素が豊富に含まれています。治療では、患者様の腕から採血し、その血液を専用の遠心分離機にかけ、PRP組織を抽出します。その後、治療する患部、例えば損傷した腱(けん)や靭帯(じんたい)に局部麻酔を行い、PRP組織を注射針で注入します。その際、針の先で患部にいくつもの小さい穴を開け、「新しいケガ」を故意に起こします。
この「新しいケガ」により、治癒(修復)することを忘れ慢性化してしまった患部を「急性」の状態に戻し、再び患部に炎症を起こさせるのです。炎症は、治癒の一番最初のステップで、細胞の修復には不可欠な過程です。炎症が起きた後は、栄養を豊富に含んだPRPが、傷ついた幹部の再生を促します。
血小板はもともと体内にある成分ですが、高濃度の血小板、つまりPRPを注入することで、治癒力をより加速することができます。PRP療法は、リハビリなどの非外科的治療を半年以上行っても効果がなかった慢性アキレス腱炎、足底腱膜炎、テニス肘などの治療法として、FDA(米食品医薬品局)にも認められています。
PRP療法の利点
当クリニック内で行うことができる治療ですので、他の手術施設に行く必要はございません。治療時間も比較的短く、約45分~1時間ですべての施行を行うことができます。
これまでの研究では、慢性痛が80~85%緩和したことが報告されています。痛みが完全に無くなったという例もあります。効果は基本的に持続し、再発の心配はありません。個人差はありますが、患部をメスで開く手術の場合、回復までに6~9カ月を要するところを、PRP療法の場合だと、約3~4週間目から軽い運動・ストレッチの開始、約6~8週間目には治療前の運動量レベルにまで復帰することが可能です。また、本人の血液を使うため、アレルギー反応、感染といった副作用もありません。糖尿病や心疾患患者、高齢者など、切開を伴う手術にリスクがある人にとってもPRP療法は朗報です。
治療後に気をつけること
PRP療法は、急性の「炎症を起こす」ことで自然治癒を促すので、「炎症を抑える」抗炎症剤や患部冷却は逆効果です。ステロイド注射などで炎症を抑える従来の慢性痛治療に対する考え方とは、原理が180度違います。
~ 患者さまの声 ~
MIKA HAYASHI, DPM, PC・林美香足病科クリニック
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